とても印象に残る作品です。定年を迎えた会社員の男の話です。物語はどこか謎めいていて、哲学的な雰囲気をまとっています。「それは突然やってきて、彼を丸ごと掴んだ」このタイトルが意味するところは何なのか、終わりになって、じんわりと胸に迫ってきます。読後、私は「生」とはなにかについて考えさせられました。
主人公は六十歳となり、定年退職を迎えた。再雇用の打診もあったけれど、それを断った。こうして彼は、退職という人生の大きな節目を迎える。慌ただしく日々を消費していくだけの生活がここで大きく変わるのだと思ったとき、彼は今この瞬間まで自分をつくり、支えてきた者たちに感謝を向けていく。タイトルは『それは突然やってきて、彼を丸ごと掴んだ』。仕事から解放され、感謝の気持ちに満たされていた彼のもとへ、突然やってきた“それ”とは何だったのか。確かにそれは、なんの前触れもなく訪れるものなのでしょう。それがなんであったのか。ぜひその目で御確認ください。
定年を迎えた立木は、これまで自分を支えてくれた人々、そして自分を生かしてくれたあらゆるものに感謝の気持ちを持った。そして……。あなたは、周囲の人やものに対して感謝していますか。当たり前のように感じていることだって、誰かの助けがあってのことかもしれませんよ。感謝の気持ち、形にしてみてはいかがですか。でも、この物語はちょっと違うようで……。何が起こったのかは、ぜひあなたの目でお確かめください。
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