概要
『ロバート教授の幻獣生態調査記録』は、幻獣生態学者ロバート・クロフト教授が各地で行った調査を、自身の研究日誌をもとにまとめた記録文学である。表向きには“魔法的現象”の調査報告という体裁を取りながら、本書が真に見つめているのは、その不可解な現象の背後で生きる幻獣たちの生態と、彼らを取り巻く土地の条件である。各章は一種の幻獣と一つの土地に焦点を当て、紀行文の静けさと野外研究の緊張感を併せ持つ。幻獣を神秘としてではなく生きものとして記述しようとした点で、本書は後年の幻獣研究史において特異な位置を占めている。