かぐわしい風に乗り大空を舞う

レモンツリーで生まれた小さな男の子。その子が風に飛ばされるたびに、巨大な女の子が優しく彼を連れ戻してくれました。

言葉の通じ合わない彼ら。小さな小さな彼は感謝の気持ちを伝えることもできず、シトラスの爽やかな香りの中で食べては眠ります。

彼が長い眠りから目覚めたとき、世界は変わっていました。そして、彼自身も。

青空にそっと背を押されるように、もはや巨大ではなくなった女の子のもとに向かう彼。つややかな光をまとい、匂い立つシトラスの香りをそっと彼女へと漂わせます。

短い作品ですが、くっきりと鮮やかな印象を与えてくれる作品です。

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