序破急の端正なるホラー

ざあざあと降る雨の夜。軒下で揺れる、白い紙で作られた、いくつもの坊主たち。それを見つめる少女の冷たい目。

首を絞めあげられた坊主たちは、つぎつぎに口をひらき、少女の心を読んだかのような言葉を吐き出し始めます。口すらない真っ白な頭から、おぼつかない言葉を、てんでんばらばらに。

帰ってこないお父さん。ひとりっきりの無口な少女。彼女の想いも彼女の存在も、すべて塗りつぶしていくかのような、雨、雨、雨。

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