言葉が通じないやるせなさ。
僕は二人に会いに行くことも思いを伝えることも、出来ない……
最後まで静かで、やさしくて、そしてとても残酷な物語でした。
巨人の女と老婆、言葉の通じない存在たちに守られながら生きる“僕”の視点が、最初から最後まで一切ぶれない。そのため、世界の仕組みや真実が説明されなくても、読者は迷わず感情だけを辿ることができます。
特に印象的だったのは、「助けられているのに、想いを伝えられない」という無力感です。
恐怖から始まった存在が、いつの間にか居場所になり、家になり、それでもなお越えられない距離として残り続ける。その切なさが、説明ではなく“匂い”や“温度”として描かれていました。
後半、成長とともに視点が変わり、言葉が通じた瞬間の震え。
ここで初めて明かされる真実は、驚きというよりも、「ああ、そうだったのか」と胸に沈む納得として届きます。だからこそ、別れと再会の場面が美しく、そして少しだけ痛い。
派手な展開はありませんが、
誰かを想う気持ちが、姿を変えて受け継がれていく——
そのことを、これほど静かに、優しく描いた物語はなかなかありません。
読後に残るのは感動というより、
「ちゃんと届いた」という安堵でした。
とても好きな一編です。
海が青いのは、私たちの涙で染まっているから。
空が青いのは、私たちの涙で染まっているから。
そんな言葉を耳にしたことがあります。
物語の主人公は、強い風が吹くたびに『飛ばされ』、
大きい少女の指につままれてレモンの木に運ばれたそうです。
そして、レモンの木はいつしか彼の住処になりました。
もうこの時期に見かけることは少なくなりましたが、
やがて暖かくなり、花が咲く頃にはお目にかかれるやもしれませぬ。
彼らが運ぶのは、花粉や蜜だけではなく……
会いにきてくれているのかもしれませんよね。
優しい文体と、詩的な文章は、
最初は ん? と思うような内容やもしれませんが、後半で色々なことが判明いたします。
ご一読を。
本作は【1分で読める創作小説2025】の応募作品となります。
そして筆者様の久しぶりの新作でもあります。
「空を飛ぶ」、このタイトルを見た時にどんな物語を皆様は想像されますか?
様々な憶測・予測を生み出すタイトルは、想像を超え思いがけない物語へと読者である僕達を誘ってくれます。
さて、筆者様の作品を過去作も含めて鑑みるに、ある特徴的な資質をお持ちです。
敢えて語弊を含みお伝えするとするなら、それは「映像美」。
小説という媒体で「映像美」を語るのは奇異に映るかも知れませんが、「語り手の捉えた世界」、その伝達において小説では、技法・技巧的な文章力や詩的な表現、さらに独特の比喩・直喩など様々ですが、それらとはまた別の「空間的な映像美」。
実写とは違う小説であるがゆえに、読者である僕らの「脳をバグらせる」叙述トリックとも言えます。ふふふ、面白いです。
さらに「どうなるの?」と読者を迷わせ、前提として僅か千文字の物語、果たしてキチンと収束出来るのかと思えば、これが見事なエンディングを迎えます。
勘違いして欲しくないのですが、大切なのは技術的な技量でなく、さらに先にある「こちらの小説で語ろうとしたもの」にあるのです。
僕はとても爽やかな読後感を味わいました( ー`дー´)キリッ
お勧め致します。
短編でありながら、確固たる世界観と仕掛けを持ち、その上で美しく儚く、さらに示唆に富んだ内容を含む、うーん、書いていて「てんこ盛り」ですね(笑)。でもご安心を、さらりと味わう事も深読みする事も自由で、どう読んでも誰にでも素敵な物語となっております。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)