“私の物語”を開いた瞬間、世界が少しやさしくなった

 「私の物語」を手にしたナツコの小さな冒険は、子ども時代の悩みや成長を優しく描き出しています。友だちとのささいなケンカ、手作りの本、誰かの残した詩。ソラタの詩には、日常の当たり前が前を向く力になる…そんなあたたかい哲学が感じられ、読み手の心に静かに灯がともります。

 登場人物たちの等身大の姿や、図書室の静けさの中にある小さな勇気が、読後もふんわりと余韻を残します。大人も子どもも、心が少し疲れた日に、そっと開きたくなる短編です。

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