ゴミ出しルールが宇宙船を狂わす日
- ★★★ Excellent!!!
柊野有@ひいらぎ様の作品『不燃ごみの量子攪乱(BL風味)』は、湊人とハルという二人の青年が、日常のささいな「不燃ごみ」をめぐる出来事から、まさかの宇宙規模のトラブルに巻き込まれていくという、不条理でウィットに富んだ短編です。
割れた鏡が異界の入口になるかもしれない、という話題から始まり、AIによるゴミ出しルールの奇妙な進化や、「船んゴミ」と宇宙船の意外な関係など、どこか現実離れした設定が妙にリアルな会話と巧みに絡み合っています。
特に、ハルが湊人の指を迷わず舐めるシーンには、不意打ちのドキドキと二人の距離感の絶妙さが感じられ、BL要素好きな読者にも刺さるはず。ギャグとSF、そしてさりげない優しさが混ざり合い、最後には静かな安心感に包まれる結末が印象的でした。
SNSの炎上やデマ、AI社会の風刺も効いていて、現代の空気感をユーモラスに切り取っています。日常に潜む非日常、そして誰かと分かち合える小さな安心が欲しい人、BL風味のやり取りや、シュールな会話劇が好きな人には特におすすめしたい作品です。