私の物語 【1分で読める創作小説2025】

ソラタ

第1話私の物語【1分で読める創作小説2025】

 図書室の中で本棚を眺めながらナツコは給食の時を思い出していた。ささいな事で仲良しのフユコと言いあってしまった。午後の授業を終え、落ち着いてきたナツコは

やっぱり私も悪かったかなあ、フユちゃんもあんなに言わなくてもと、少し落ち込んだり悩んだりしていた。

 本棚をゆっくりと眺めていく。

あれ、と不思議な本を見つけた、

その本は「私の物語」とマジックで書かれていた、取り出してみると分厚いボール紙に千代紙が張ってあり白地の紙に背表紙と同じく「私の物語」。誰かの手作りの本だった。

 図書係のハルコのところへ持っていき、「ハルちゃん、この本てなんなの」と、ハルコは「その本は誰でも読んで言いけど決まりがあるのよ」「何の決まり」と返すナツコ。

 「読んだ人は物語か詩を一つ書かなきゃならないの、いつの間にか誰かが作った本なの」ハルコはいたずらぽっくナツコを見た。

 本を開くと、幼い字、小さな字のページ、大きな字のページもある、ナツコは知ってる字を見つけた。隣の席の幼なじみ、ソラタのだ。 


悲しくても

悔しくても

友だちとケンカしても

ハラが減っても

泣いても

どんな時でも

俺はパンツは右足から履き

靴下も右足から履く

みんな同じ

両方、いっぺんに履ける奴はいない

さあ、今日も俺は元気だ

がんばるぞ


ナツコはハルコに「この本、借りるわ」と図書カードを渡した。

 「バカソラタ、元気が出てきたじゃない、明日フユちゃんにあやまろう」

 ナツコはランドセルに「私の物語」をしまった。


おわり






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私の物語 【1分で読める創作小説2025】 ソラタ @sorata19

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