魔道具鑑定物語。それはほのぼのした話? いえいえ滅茶苦茶デンジャラス!

 ダークファンタジーと分類したくなる、すごくハードな展開の数々。それに強く魅せられる作品です。

 本作の主人公のアンナは、魔道具の鑑定をすることを生業としている。でも少女が店主だと軽く見られそうなので、先代である祖母の姿に化け「老婆の店主」という形で鑑定業を続けることになる。
 そうして数々の品を持って店を訪れる人が出てくるのだが……

 一個目の話から、本作の「特性」があますことなく発揮されます。

 魔道具屋を舞台にした、少女主人公の物語。こう聞くと、どんな物語を想像するでしょうか?

 大概の人は、「ちょっと人の心をあたたかくする思い出の品とか、人と人との心を結ぶのをお手伝いする」みたいなハートウォーミングな話を想像するかもしれません。それでもって主人公の少女がイケメンの誰かに溺愛されていくような要素がくっついて、というのが定番かも。

 でも、本作の主人公のアンナの仕事には、そんな「ゆったり」した空気は付いてきてはくれません。

 なんと言ってもすごいハード。鑑定に持ってこられる魔道具は、どちらかというと「特級呪物」と呼びたくなるような「問題のある効果」を持つようなものばかり。下手に使うと命を落とすような類のものが登場し、更には持ち主も問題のある人物が多く、アンナもちょくちょく命の危険にさらされます。

 「道具屋さんの物語」という異世界恋愛の定番みたいなテーマでも、「道具の性質」一つでこんなに内容が違ってくるのかと冒頭からすごく心を掴まれました。
 ここで出てくる道具の効果は、もはや「呪術廻戦」の世界から持ってきたのか、と言いたくなるような品物が多く、中には「これ、もはや領域展開だ!」とツッコミを入れたくなるほどの破壊力を持つものまで登場します。

 そんな道具がどんな目的で作られ、持ち主たちはそれを軸にどんな数奇な運命を辿っているか。ミステリータッチにその道具の秘密が紐解かれていく展開も面白く、一つ一つの過酷な運命を紐解きつつ、巻き添えを受けないよう必死に行動するアンナの姿が読者の心を揺さぶります。

 ファンタジーでありホラーでありミステリーでもある、そんな数奇な道具屋の物語、是非とも堪能してみてください!

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