私の歌

@Teriyaki_c

誰のものでもない歌


本棚より こぼれる声をすくいとり 

言葉ひとつが 夜をひらいた


五七五七七 この呼吸だけで     

世界はすこし軽やかになる


白い机 番号の札に押しつけられ   

正解ばかりが光を放つ


紙の上 赤い雨ふるその下で     

風は透明な 歌をひらいて


評論家 メガネを曇らせ語る間に  

コーヒーだけが 湯気を放って


封筒に 閉じこめられた影たちは   

正解だけを 夢と呼ばれる


大賞を 決めるその椅子ゆらぐたび  

ただの人間 背もたれにいる


点数を――つけられぬものを愛すとき 

呼吸は深く 夜は澄みゆく


うんざりの 世界にひとつ灯りさす  

君の微笑は 採点不能


今宵また 歌をひらけば風が吹き  

誰のものでもない わたしの歌



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