繊細な言葉遣いに引き込まれました。机、スイカジュース、ヒヤシンス、石鹸など、日常のあらゆるものが、作者のポエジーという魔法にかかると、瑞々しさ溢れる短歌に異化されていくのです。全体的に破調なのですが、それは作者の中からほとばしる詩情の証左でもあるのでしょう。1首読むたびに世界が一段とかがやく、非凡な才能の薫り立つ短歌集。推し短歌1首。石鹸の中を溶けゆく初雪がカルシウムになり人になるから