短歌10首のうち、7首が名詞止めなので、緊張感のある作品に仕上がっています。抒情と写実のバランスが絶妙で、蚤、椅子、糸こんにゃくなど、詠われた物質の核心に届くような、深い描写力に瞠目しました。それぞれの短歌に、既視感のない、新しい発見があって、読後に世界の空気感が少しあたたかくなるような、不思議な陶酔感があるのです。並並ならぬ才能の薫り立つ短歌集。推し短歌1首。染めにくく色褪せやすき麻糸のその質感はわたしそのもの
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