何も無くも書け、全てがあるようにも書ける「大学時代」。これはどちらか?

「男と女が一緒の部屋にいてやらないと変だよな」

そういうことを言う人がいるんですが、
本格的に仕事を始めたり、何があっても出来る限り仕事を優先しなくてはならない職(警察、医者などのもの)

あるいは、戦記物。

異世界ファンタジー。

そんなものを書いていると、

「別にそうとは限らないんだな」ということに気づきます。

極めて現代の風潮に毒された考え方なので。

そして少なくとも私は「そんな理由でしないでほしい。するならせめて男と女が一緒の部屋にいてお互い好きでそうしたいと思ったらすればいい」と思うのです。

しかしながら、とりあえずある程度好き合っていて、勢いで体の相性を早めに確かめておくなんてことも、フィーリングがあればそれで壁を乗り越えて恋人になれたりすることもあるので(幼馴染みとか、昔から知ってて兄妹みたいだったとかいう関係だと、友人にはなれるけど恋人同士になるには勢いが必要だったりもする)

全てにおいて順を踏むべきとは別に思ってないのですが、

お互い好きで、側に居て安心するなーって思えて、同じ部屋にいても特別「やらなければならない」なんて急かされた気持ちにならないのに、それってとてもいい関係性なのに、


何故か「男と女が一緒の部屋にいたらやらなければならない」なんて義務感であんま気が向いてないのにやっちゃうなんてちょっと残念な関係だよな~~~って思うのですよ。

別にそういう二人なら然るべき時に二人が望んでそうなれると思うので。

この二人は最初のフィーリングがとても合っているので、そんな誰発か分からない得体の知れない義務感で結び付いたりせず、誰かの前例を真似たりせず、自分たちの意志とタイミングで結び付いてくれたらいいなあなんて思う二人でした。

7話まで読んだ時点で、二人の関係性はしっかり描かれているのですが、未来を指し示すパーソナルな部分、「何を仕事にしようとして、大学にいるのか、或いは学んでいるのか」という部分がまだ出て来ていません。
二人の人としてのフィーリングは合ったようなので、
これで未来へ向けての展望とか見えて来ると、
また一層強く結びついたり、
逆にこじれたり、
置いていかれたり、
付いていけないと思ったり、
そういう風に思ったりする

人間の距離感の変動が出て来るので、

人間関係において最も重要な
「少し嫌だと思ったり違和感を感じても、結局その人と一緒にいたいとどれだけ思えるか」という部分が現われてくる気がしますね。

翔吾がかなり女とやることを日常動作に分類しちゃってるので、そこはかとなく漂う「夕月だけは違う」みたいな部分がどれだけ尊重されるかなというのは注目ポイントなのですが、

第7話時点で作者がこの二人を使って何を描きたいのか? という部分がまだ見えてないので、安心で結び付けられたようにも見えてまだ不幸な目に遭う可能性が否定されず、ちょっとした不安感があります。

この不安感は読者を「何が起こるのかな……」と期待させ惹きつけるパワーになっていますが、現代ドラマ、大学生、若い感性を持つ男女となると、起こり得ることはそれなりに想像できる範囲に留まるので、

つまるところ幸せになって欲しい、不幸なことにならないで欲しいという部分に焦点が絞られる気がします。

未来につながる幸福か、
未来まで影響を及ぼす不幸か。

ベクトルは二つに絞られてる感じですが、

どっちかになるのか、それとも別のアプローチが来るのか、そういう部分が今後のポイントになるのかもしれません。

私は少し得体の知れない不安感を感じるのです。
翔吾と夕月が一緒にいる時描かれてる安心感は強く、とてもいいなと思うのですが、
何かそれ以外の描写に不安が過ります。

が、もしかしたら単純に作者が書く文章が若干鋭いため(女とやる、とか女を全部切って捨てた、とか、人を殴ったりする描写も淡々と描く特徴が見える)、なんとなくそう感じすぎているだけで、全く深い意味はないのかもしれませんが

このちょっとした不安感が作者の手により完全に払拭された時、
この少し残った嚙み切れない感も消え去る気がします。

ジャンルが「恋愛」であり、キャッチコピーの雰囲気からも、そんな酷い展開にはならないんじゃないかなと考えてはいるんですが、時々鋭い文章なんですよね。
これはこちらの作者さんの特徴なのかもしれません。
ほのぼのした文章しか書けない人はいるのですが、そういうのとはちょっと違うのを感じ取りました。

もしかしたら幸せな恋愛を書く作者なのかもしれないのですが、私はこちらの話が初見だったので、文章の雰囲気はほんわかしてるというよりは、エッジが効いている方です。

まあでも、大学生の男女で彼女の家に行っても男子の方が安心出来るような間柄なら、焦って居心地が悪くなるようなことはせず、彼らのペースで過ごしてくれるのが一番の幸せかなと思い、そうなって欲しいなと願いながら読み進めて行きたい話です。

この二人の安心する感じの雰囲気がずーっと守られて描かれたらいいなぁとは思っているのですが、さて願いは叶うのでしょうか?

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