大胆かつ鮮烈なイメージで切り取った、非常に感性の鋭い作品
- ★★★ Excellent!!!
これらのフレーズからは、現代的なモチーフ(自由の女神、アメリカンドリーム、メイクアメリカグレートアゲイン、SNS、ドライアイなど)と、古典的・内省的なモチーフ(深海、いろくず、樹海、空襲警報、虫時雨、鶏頭、死者、悲しみ、喜び)が複雑に絡み合っている印象を受けます。
「白昼の時間を5秒だけ止めてバク宙をする自由の女神」
「5秒だけ止めてバク宙」という超現実的で刹那的な行動に、自由の象徴であるはずの女神が現代社会の重圧や停滞から逃れようとする、あるいはその中で奇抜なパフォーマンスをせざるを得ない危うい自由を感じます。
「アメリカンドリームなんて幻想ね筆記体って使わないのね」
「アメリカンドリーム」の否定と、実用性が失われた「筆記体」の対比が、古き良き理想や文化の衰退を静かに見つめる視点を示しています。
「鶏頭よ終わりの近い喜びと終わりの近い悲しみがある」
鶏頭の赤が、いずれは散る「終わりの近い」感情の極大を象徴し、喜びと悲しみが常にセットで、期限付きであることを示唆しています。
現代の不安、個人の内なる葛藤、そして普遍的な愛や死といったテーマを、大胆かつ鮮烈なイメージで切り取った、非常に感性の鋭い作品だと感じました。特に、社会的な言説を個人的な感情と結びつける手法が印象的です。