やさしい孤独を包み込む、ことばの余白
- ★★★ Excellent!!!
まるで東京の朝、ほんのり湿った空気のなかで胸の奥にたまった澱や、小さな痛みが静かに揺れはじめます。針金ハンガー3個セットさんの紡ぐ言葉たちは、ユーモアと寂しさがやわらかく寄り添い、日常のさりげない一場面がふとした瞬間に心をそっと打ちます。些細な失恋や街角の風景、ふいに浮かぶ思い出の断片――そのどれもが、読む人の深いところで静かに共鳴していくのです。
笑いと涙がほどよく混じりあい、無防備なまなざしとやさしい孤独を包み込んでくれるような短歌集でした。