折れかけた翼

雪の降る夜。
羽をもがれ失意の中にいた男は、そのバーを訪れた。

男とマスターの間にただよう静かな空気感。
果たして男は、どんな未来を選択するのか――？

最後には、希望を持てる終わり方が素敵でした✨
何か気持ちが落ち込んだ時には、勇気をもらえると思います。
是非、手にとって読んてみてください！

素敵なお話をありがとうございました！

　失意から立ち直る姿を描いた短編です。
　それは、店のマスターとの会話で静かに展開され、主人公が彼なりの着地点を見つけるまでが描写されています。各話の最後に入るお酒の説明も味があります。
　仰々しく嘆くことはなく、ひっそりと進行する物語――激しい物語に飽き飽きした方にもお薦めです。

ZEINさんの筆力によって、登場人物の心情や物語の空気が繊細に掬い取られ、リアルな人間ドラマとして丁寧に描かれています。

物語は1998年の長野五輪の記憶と、スキージャンパーとしての人生の着地を優しく紡ぎ出しており、読後にじんわりと温かさが残ります。

現代の葛藤や夢、そして家族の絆を描くその筆致は、多くの読者の心に響くことでしょう。

舞台となるバー「R66」は、ZEINさんの作品世界で象徴的な存在として頻出しているようです。

この短編を気に入った方には、ぜひ「R66」シリーズ全体も手に取ってみてほしいと思います。

怪我による影響で、夢に見たオリンピックに出られなかった。

けれど彼は、別のやり方で。

夢は夢で終わるけれど、叶えられたものもある。

裏舞台の美しさを。