概要
イ段とウ段がうまく言えない彼女、いつも通過点だった私。
できなかった約束は、年を取ったいまでも覚えている。
※フィクションです。
※フィクションです。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!恋愛よりもっとプリミティブな愛情、痛みに満たない繊細で心地よい喪失感。
これは少女同士の関係を描いた物語だ。
こう書くと、いわゆる「百合」をイメージする方も多いかも知れない。
しかし小学生の彼女たちがお互いに抱く感情は恋愛には遠く至らず、それどころか友情という言葉から想起されるような、価値観の一致や互いを認め合うような大人な関係でもない。
たまたま近くにいて同じ時を過ごし、漠然とした愛着を感じる、その程度のもの。
それは時に身体的接触を伴い、そこに心地よさを感じることもあるものの、それすら性的ではなく、ペットが飼い主に寄り添うような関係。恋愛よりもっと根源的に人間が持っている他者への愛着のように思う。
その関係性を描き出す筆致はどこまでもリアル。
物語のリアリ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!素材と構成
風習に割かれる子供の純真を書いた物語です。
1980年、奉公、ルービックキューブ、集めた素材で1つの物語を作っていてうまいです。またただその時代について言及するのではなく、そこから現代に響くテーマ性をきちんと抽出しています。
数字で見るとそれほど昔に感じないけど冷静になると45年も前。そんな時間スケールを理解してもまだ遠くに感じる考えられない出来事があって心臓がキュッとする感覚がありました。ルービックキューブの選択がそこを強化していて、そんな風習がルービックキューブと同じ時期にあったんだと。しっかり時代を見つめて共存した暗さ、明るさ、同時に見せるやり方が物語をより私達の近くに感じさせます…続きを読む