孤独と迷いの夜に読みたい短歌

 この短歌集は、日常の“ネガティブ”な感情を極端なまでに突き詰めて描き出していて、とても人間らしさを感じました。

 どんなに前向きに考えようとしても、ふとした瞬間に心の奥底から湧き上がってくる迷いや孤独。その苦しさや諦め、そして生きることへの戸惑いまで、五・七・五・七・七の短歌のリズムで綴るからこそ、素直に心に届きます。「なぜ生きるのか」「何のために生まれたのか」という問いを、誰しもが一度は夜にふと思い悩む――そんな共感が詰まっています。

 ネガティブな思考を否定するのではなく、ありのまま受け入れて淡々と歌う姿勢に、読んでいる自分自身も少し救われるような気がしました。

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