ヒーローじゃなくてもいい。誰かのために生きる強さ
- ★★★ Excellent!!!
この物語は、ただの剣と魔法の冒険ではありません。絶望の闇を前にした人々の“祈り”や、傷つきながらも誰かを守りたいという本当の強さが、丁寧に描かれています。ロザリーナは英雄であることに縛られず、ただ兄を探すため、そして目の前の小さな命のために剣を振るう。その姿は、読むほどに心を揺さぶられます。
砦での仲間たちとの交流や、冗談と温もりに満ちた日常の一コマが、物語の厳しい世界に優しい色を添えています。戦いのシーンだけでなく、晩餐や幼子とのふれあい、過去を語り合う酒場のひとときなど、一つ一つの場面が、人生の光と影を美しく映し出してくれるのです。
失われたものへの悔しさと、それでも歩み続ける意志。過去と向き合いながら、新たな希望を見出そうとする姿に、きっと誰もが共感できるはず。ロザリーナや仲間たちが少しずつ心を通わせ、砦に新しい絆を築いていく過程は、仲間や家族、そして「自分自身の物語」を探している人にも深く響くでしょう。
ファンタジーや冒険ものが好きな方はもちろん、“ヒーローでなくてもいい、誰かのために生きる”というテーマに心動かされる人にこそ、ぜひ手に取ってほしい作品です。