第13話 おまけ

 堺 幹人を殺害させた容疑と学校の生徒二名を殺害しようとした殺人未遂として

教員の戸川 刺来こと水森 刺来と、水森 磨人を現行犯逮捕した。


と新聞にデカデカと書かれていた。


「兄さん、戸川と磨人って兄弟だったんだね」


新聞を見ながら、朔に言う。

前日に磨人たちが逮捕されたこともあって今日は休校になった。

しかし、取り調べなどで丸一日拘束されたため帰って来る頃には暗くなっていた。


「そうだったのか。戸川が偽名を使っていなければもっと早く犯人として特定できたのにな」

と朔は言う。


「兄の命令で逆らえなかったのかな?」

湊はそう思った。だが、同情する気はない。あいつは、幹人を殺したんだ。


湊はある疑問を聞く。


「どうして、磨人が兄さんのキウイアレルギーを利用するって知ってたの?」



「タレコミがあった。とある先生が俺のアレルギー用紙を大事そうに持っているってな」


「一体誰から?」


「新聞部の丸井だ」

と一拍おいて言う。


「えっ、なんであの人知ってんの?」


「俺等があの事件のことを調査してるのを知ったあいつは、自分でも調べて俺に情報をくれたんだ。あいつ、新聞部じゃなくて、探偵か情報やのほうがしっくり来るな」


「丸井さんって何者なの。怖」

あまり関わらないようにしようと思った。


キウイ、用具室の担当の戸川、物理室に呼び出された湊。

この情報だけで朔は相手がどのような作戦を立てたかを理解した。


そこで朔は文化祭前日にこの”入れ替わり”作戦を湊に教えた。


「絶対に逮捕するために絶対的な証拠を手に入れる」そう朔は言った。だがもし、少しでもトラブルがあれば朔はナイフかロープで死んでいた。

湊はこの作戦は危険過ぎると抗議したが、朔に言いくるめられてしまった。


もし、用具室に時計があったら湊の時計を見ないから失敗だった。

もし、丸井からのタレコミがなかったら朔も湊も死んでた。


「ん?てか、戸川が自分の腕時計持っていたら終わってたよね?」

と恐る恐る聞く。


「これから殺人することがわかっているのに、手に余計なもんをつけたくないだろ。邪魔になる。だから、邪魔にならないように外すと思ったんだ」


「そっか」

と言って納得した。


磨人は友達だったが、幹人を殺した犯人ならもう、会えなくなっても悲しくない。


「兄さん、花火が見えるよ」

夜空に大きな花が咲いた。


(終わったよ。幹人)

心の中で呟いた。


あの学校には、殺人犯と救えないクラスメイトがいた。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

この学校には、殺人犯がいる 水を得た魚 @momizigari

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ