風と沈黙と、父の名を継ぐ日

＝前編＝
インドネシアやフィリピンの海上で暮らす“海の民”バジャウ族。
この物語は、海を読み、風を聴き、言葉なき世界とともに生きる一人の少年――リオンの成長を描いたフィクションです。

早くに海で父を亡くしたリオンは、寡黙な祖父から“風を読む術”と“沈黙の意味”を学びます。
母の不安をよそに、彼は海と向き合い、父が遺した名の重みと向き合うなかで、やがて「バジャウの男」として名を継ぐ決断をします。

銛を握る手、沈黙の波、風の記憶。
そこには声にならない命の連なりがありました。

これは一つの“誇り”の物語であり、
海に生かされ、海とともに生きる人々への静かな祈りです。


＝後編＝
バジャウの少年リオンが“父の名”を継ぎ、バジャウの誇りを手にしたその後。
これは、彼がもう一度「名とは何か」を…続きを読む