恋愛小説家はかく語れど、我が恋路は五里霧中 ～恋愛経験ゼロの引きこもり令嬢、ネタ切れを機に騎士や庭師と恋愛シミュレーションを始める～

　世の淑女たちを虜にする天才恋愛小説家『マダム・キュピドン』。
　――そのペンネーム、実はわたくしのものなのです。

　しかし、現実は非情である。作者たる私は、恋愛経験ゼロの引きこもり伯爵令嬢。来る日も来る日も書庫に籠もり、男性と目も合わせられない有様。
　当然、次作のネタも、ついに枯渇した。

　こうなれば、やることは一つ。
　来るべきロマンスのための予行演習、すなわち『恋愛シミュレーション』を開始するのです！

　生真面目な騎士を相手に『邂逅論』を実践し、お調子者の庭師と『書簡術』の実験を重ねる。侍女の冷ややかな視線を浴びながらも、私の学術的探求は止まらない！

　これは、恋を知らない私が、理屈と妄想で『恋』を創造しようと悪戦苦闘する、滑稽にして愛おしい日々の記録。
　理屈っぽいお嬢様が…続きを読む