怪談の、その先にあるもの骨のある怪談シリーズ

邪祓師の許に、と或る僧侶が訪ねて来る。
まさかの坊主からの相談は、何やら寺で
怪異が起きているという。
 夜半に響く哀しげな犬の声…それは更に
数を増して行き、いつしか寺の中からも
聞こえる様になる。

作者の大人気シリーズであり書籍も出た
【邪祓師の腹痛さん】のスピンオフ。

あの、静かに忍び寄る怪異…その裏にある
様々な事情、人の心理の奥底に潜む…邪。
呪いの生成は日々、枚挙に暇がない。
折しも、この夏へと至る今。肝を冷やす
正統派な怪談としておススメである。

淡々とした邪祓師、卜部の『仕事』に
対する美学が冴え渡る。そして彼を支える
助手かなめの覚悟と献身。

 これは、流行り廃りなどで読まれる様な
作品ではない。真に、読み継がれるべき

否、読み継がれねばならない作品である。


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