刹那の戦い・SF(セツナファイト)

たーたん

刹那の戦い・SF(セツナファイト)

 その刹那、時が止まった。


 声を発するより刹那、視界が暗くなる。


 刹那的な衝撃が、刹那のように通り抜ける。



「俺が刹那だ」



 一方的な刹那で呼び捨てると、その刹那、体が重くなる。


 刹那流重力に呑まれるかと思った刹那、


 捕まえられないその影は笑った。


 刹那のように流れる挨拶に、違う時が流れ出した。


 主の帰宅は、毎晩小さな時間跳躍。


 そして今宵、さらなる刹那異変が起きる。



 ふとした刹那、空気が震えた――廊下の奥から響く高笑い。



「私も刹那よ」



 小さき侵略者――出撃。


 連戦、刹那の幕が上がる。


 さながら刹那の波動に目覚めた、容赦なき腹部への突進。


 空腹の胃袋は、未確認刹那波動エネルギーを吸収した。


 二つの刹那が重なる。


 そしてその刹那、声が響いた。



「おかえり! パパ!」



 パパの口元がほんの刹那だけ、緩んだ。




 これが刹那家──SF(セツナファミリー)

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刹那の戦い・SF(セツナファイト) たーたん @taatan_v

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