魔法と猫と、ちょっぴり皮肉な温もりの物語!
- ★★★ Excellent!!!
魔導士と白猫――それだけで惹かれるものがあります!
まず特筆すべきは語り口で主人公・利他ユウナの一人称視点は、柔らかくも鋭く、独特のユーモアと冷めたリアリズムを感じます。それが、猫の相棒・ソラとのやりとりや、突飛な状況の中でも地に足のついた“生活感”を保っているのが、作者の作品への愛を感じる。
導入の「深夜の電話」に始まり、魔法で飛ぶ朱傘、火災現場に咲く金色の炎、そして空飛ぶおもちゃの汽車に至るまで、絵本のようなファンタジックなイメージが次々と展開される一方で、「組合から抜けて仕事がない」などの苦味も効いていて、作品全体に深みを与えている。
また、魔法描写において「理科の実験」や「製造工程」を応用するというリアルな発想が新鮮で、空想に理屈が通っているのも魅力的です!
何より、ソラの存在が物語に優しさと彩りを加えている。利他の皮肉交じりの独白に対する、まっすぐで愛らしい相づちに癒されます。
今後どんな事件や出会いが利他とソラを待ち受けているのか、続きを読みたくなる一作です!!