これを読んだらもう、普通のモキュメンタリーでは満足できなくなるかも!?

 こ、こらー!!! 子供に何を食わせるんか!!!

 給食の献立メニューとその解説、という形で進行する作品です。まさに新感覚モキュメンタリーで、「こう来たか!」とそのアイデアに心を揺さぶられます。

 最初に出てくるメニューは「黒パン」。
 なるほど、小学校の給食ならでは! そう言えば、こんなの食べたなあ、としみじみと(今の小学生はどうなのか知らないけれど)。

 ……と、思っていたら、「ほらキター!」というような「何か」が目につきます。
 え? どゆこと? これは、食べられるものなの?
 ナムルとか出てるからね。普段はあまり馴染みのないアジアン料理。「そういう名前」の食材もあるものね、といったんは落ち着くことに。ほら、「鷹の爪」とかもあるものね。

 そして次のページ。「ぐああ!」と呻かされます。やっぱりなんか混じってる!

 これはもう、もはや「間違い探し」です。しっかりと献立の中を見ていくと、どうも「何か」が混じっている!!

 この小学校では、一体何が起こっている? ここ、どんな環境なの!?

 そんな不穏な献立表。それでゾワゾワとする一方、朗らかに「給食おいしかった!」と述べているような元気溌剌な児童たちの声。そのギャップがまたたまらんです。

 一話ごとに、油断ならん感じで「何か」が紛れ込む献立。次は何が来るのかというワクワク感。そして発見してしまった時の「やっぱりキター!!」という衝撃。

 この作品、絵本とかの形でゲームブック的に販売しても面白いかもしれない。そんな風に1ページごとに「間違い探し」な楽しさも味わえますし、「これは最終的にどこへ行きつくのか」という興味も惹かれます。

 ……もしかすると、我々は現在「伝説」に立ち会っているのかもしれない。モキュメンタリーというジャンルに革命が起ころうとしているかもしれない。

 数年後、このように言われるかも。「ジロギン以前/ジロギン以後」と。そんな強烈なポテンシャルを秘めた作品です。

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