右も左もわからない異星の文化。この未知の環境には、一体何が眠っている?

 SFならではのミステリアスな雰囲気がとっても楽しい作品でした。

 主人公の清田はサラリーマンとして「TAー11星」へと営業に行くことになる。
 最近は地球が星間連合に加盟することが認められ、別の惑星の住人とも交流を持つことに。

 TAー11星の大人たちは身長が二メートル半くらいと高く、身長160センチ台の清田は子供に見えてしまうくらいの状態になってしまう。

 そんな異星人たちとのやり取りに不安を抱く清田。大好きだった「ジャスティーサー」というヒーローのカードを荷物に忍ばせておくが……。

 その後に訪れる変化。謎の小柄な異星人の登場。TAー11星にも根付いている民族問題。そして現地で語り継がれる英雄「アヨーレイ」の物語。

 もしかしたら、異星の民族紛争など、何かの厄介な問題に巻き込まれようとしているのか。清田は事情がまったくわからずに戸惑うことになります。

 この不穏な雰囲気。地球人にとって、異星の文化とは未知なもの。だからこそ手探りで状況を判断していくしかありません。

 その先で見えてくる「真実」を知り、感嘆させられることになりました。
 それまで見えてきたもの。清田を取り巻く事情。清田への反応。清田自身の性質。それらが一つに結び付き、「一つの絵」に辿り着くことに。

 異星人との交流というSFだからこそ出来る「謎」と「解明」。この感じがとても心に迫ってきて、読者に強い満足感を与えてくれます。
 是非とも本編を紐解き、この「未知」の世界に耽溺してみてください!

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