駐輪場に春は過ぎ
志乃亜サク
駐輪場に春は過ぎ
ハンドルの 花を払えば 風立ちて
駐輪場に 春は過ぎにき
新緑の 木漏れ日さしこむ教室で
はじめて君を 呼びし放課後
通り雨 紫陽花のごと 傘のひらくを
縫うよにふたり 濡れて走りぬ
おどけて真似るSingin' in the Rainは
手叩き笑う 声聴きたさに
5限目の 眠たき窓より 遠く見ゆ
二羽なるツバメ 夏へ飛び行け
夏坂を 息せきのぼりて 振り向けば
風のみぞあり ゆれる向日葵
渡り廊下で 見かけし君は
校庭に誰をか探せる 知らぬ横顔
後夜祭 君の瞳の追う人は
われならずやと 知る花火かな
金管の 音色染みたる教室に
秋の日さして 恋は終われり
はなれゆく 自転車の背を 見送りて
遠回りして帰れば
駐輪場に春は過ぎ 志乃亜サク @gophe
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