概要
しかし、調査を進めるうち、彼は戦慄すべき事実に直面する。ᕫは、存在しないはずの歌を現実に出現させ、他人の思い出のレシピノートや卒園アルバムを修正するなど、人々の記憶にある「空白」を埋めることで現実そのものを書き換える怪異だったのだ。この現象をネットで告発しても、誰にも信じてもらえない。
田中は、一連の現象が古典怪談『耳なし芳一』の構造――記録という経文の、書かれていない一部分を狙われる――と酷
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- ★★★ Excellent!!!あなたのその記憶、本当に正しいですか?
曖昧な記憶であっても、問いかければ誰かが答えてくれる。
そんなネット掲示板で起きた奇妙なやりとりから、現実がじわじわと侵食されていく恐怖を描いた物語。
誤った記憶、架空の歌、ありえないはずの存在――
どのような質問にも的確で正しい回答を行う回答者“ᕫ”。
それは、なぜ“知っている”のか?
“ᕫ”は人か、AIか、それとも……
淡々とした口語調のやり取りの中に不意に挟まれる詩的な描写や読者への問いかけが、じわじわと不安と没入感を高めていきます。
何気ない投稿や会話が、物語の核心に直結している構成の妙も見逃せません。
記憶は誰のものか。真実はどこにあるのか。
あなたの記憶の隙間にも、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!いわくつきです。閲覧注意!
知恵袋って自分で質問した事はないけど、何か調べる時参考にすることが多い。
割とコアな質問が自分が知りたい事と同じだったりすると嬉しいモノだ。よく出来たシステムだと思う。
この作品は、そんな知恵袋に質問を投稿した主人公の田中が、回答者のᕫに翻弄され精神を壊されていくモキュメンタリーホラーである。
他に自分のような体験をした者はいないか、探し当てた2人の証言者はしかし‥‥田中の奇妙な体験に興味を示した大学教授まで‥‥
そして最後には、田中の存在さえなかったものにされてしまう。
ᕫは個人の記憶を読み取り、現実を改竄するのだ。ᕫの正体とは!その目的は⁈
あとがきには、作者自身が体験したᕫとい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!AIによって逆に自分の存在が否定されていく恐怖!
近頃、AIを題材に扱った小説を多く出しておられる、平手武蔵さんの最新作です。
タイトルを一見すると、「トンチものの昔話かいな?」って思いそうですが、全然違います! これが実にぞっとする、気持ち悪いホラー小説なんです。
ストーリーは、主人公のフリーライター田中聡が、ネットのQ&Aサイトで、どんな曖昧な質問にもたちどころに完璧な回答を返してくる謎の存在「ᕫ」(ッテ、って読むそうです)に出会うところから始まります。
「ええと、あの歌なんだったっけ?」と、記憶の断片を入れるだけで瞬時に回答してくれるので、最初は「お、これは便利」と、喜んで使い始めますが、あまりに瞬時に精緻な回答を出すもの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!神は積み上げる 記憶の空白にて 逃げ場なき真実を
主人公であるフリーライター、田中聡はネット上の集合知『人間の曖昧な記憶』を『AIがどう処理するか』ということに興味を抱き、知恵袋にて実験を開始する
彼が実験に用いたのは、自らの朧気な記憶、とある歌
AIによる的外れな連想ゲームを流し読み、人間の回答者を待つ彼の前に、しかし姿を表したのは『ᕫ』を名乗る不可視の投稿者だった
まるで質問した者の脳をスキャンにかけ、デフラグを施したかのような、一種の妄執染みた『真実の再構築』に田中自身も虜とされる
そこで彼はある勝負めいた質問を『ᕫ』に投げ掛けるが……
真実と虚構
理性と狂気
空白と改竄
『ᕫ』の異常性に恐怖を抱きネット上で訴え始める田中だ…続きを読む