概要
トイレの鍵が開かない。それだけで人生が壊れた。
心は静かに、確実に崩壊へ向かう――。孤独、無力、そして希望の不在。これは、"待つしかない"人間に訪れる最も長い一夜の記録。
(あらすじ・ネタバレを含みます)
主人公の中年男性、芦田孝人は、最後の失業手当をパチンコですってしまう。どうしようもない気持ちのまま車で帰路につくが途中で腹痛を感じ、急遽県境のエロDVD屋に立ち寄り、トイレを借りる。ところがトイレの鍵が壊れて閉じ込められてしまう。
最初は軽い事故だと思っていた孝人だったが、いくら扉を叩いても反応がない。店内にはパチンコ屋で流れていたのと同じ集団アイドルソングだけが繰り返し流れ続け、時間の感覚が徐々に歪み始める。
携帯電話で昔の職場の先輩、元恋人、実家の父親に助けを求めるも、状況は改善しない。仕方なく警察に通報するが、そのことを店
(あらすじ・ネタバレを含みます)
主人公の中年男性、芦田孝人は、最後の失業手当をパチンコですってしまう。どうしようもない気持ちのまま車で帰路につくが途中で腹痛を感じ、急遽県境のエロDVD屋に立ち寄り、トイレを借りる。ところがトイレの鍵が壊れて閉じ込められてしまう。
最初は軽い事故だと思っていた孝人だったが、いくら扉を叩いても反応がない。店内にはパチンコ屋で流れていたのと同じ集団アイドルソングだけが繰り返し流れ続け、時間の感覚が徐々に歪み始める。
携帯電話で昔の職場の先輩、元恋人、実家の父親に助けを求めるも、状況は改善しない。仕方なく警察に通報するが、そのことを店
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!助けを求める言葉が遅れる一夜、読後に鈍い痛みが静かに残る現代密室ドラマ
『時をたぐる』はな、「助けを呼ぶ」って行為が、こんなにも難しいもんなんや――ってのを、読者の胸の奥にじわじわ沈めてくる現代ドラマやねん。
主人公は、生活がきしみはじめた男。金の不安、世間への猜疑、取り返しのつかん焦り……そんな日常の濁りを抱えたまま、ふと立ち寄った先で、たった一つの出来事に捕まってしまう。
舞台は大げさやないのに、息が詰まる。音、間、時間の伸び方が不気味で、「まだ終わらへんの?」って感覚が読んでるこっちにも移ってくるんよ。
この作品のえげつないところは、恐怖を“派手な事件”で盛り上げへんとこ。
むしろ、電話一本、返事の一言、相手の温度差――そういう「小さいズレ」が積み重な…続きを読む