夏の虹 光陰の矢を 放つ弓

飛山定

夏の虹 光陰の矢を 放つ弓

風鈴も木々も時計も赤に消え

 畳の跡は朝か日暮れか


提灯も豆電球さえ居なくなり

 それでもお化けは舌を出すのか


見上げればそっぽを向いた黄色だけ

 汗をかいてもぎゅっと握って


蛹から羽ばたく姿は美しい

 葉を食うあなたはごめんだけれど


ぐるぐると 渦巻く夏は冷めやまず

 青が隠れて暗くなるとも


家庭科で縫ったジーンズエプロンの

 色は褪せても藍褪せぬまま


どこまでも強く駆けて行く君を

 見失わないための紫


この部屋は兄弟従兄弟の秘密基地

 明日になるまで明るいままで


父の部屋初めて一本くゆらせた

 私が来てからあなたが去るまで


どの星も覗けば近くに見えるから

 選べたことが私の答え

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夏の虹 光陰の矢を 放つ弓 飛山定 @rorelu

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