まさに昭和時代の野球界は、漫画で散々描かれてきた「スポ根」を地で行くようなスパルタの世界。
そこに現代知識を持った令和のプロ野球でそこそこ活躍したプレーヤーだった主人公が、昭和に転生して当時の野球界の常識をぶち壊しながら、某三冠王バッターを彷彿とさせるとことんなまでの「オレ流」と、己の理想の実現のために利用できるものは利用して成り上がる用意周到さ(腹黒さ)で野球界で成り上がっていく様は、まさに爆笑です。
物語に加えて、当時のプロ野球事情にまつわる小ネタ(選手の元ネタを知っているとクスリときます)もあるので、何度読んでも飽きないです。
…本編は終わりましたが、番外編も(良くも悪くも)主人公らしさ満載になりそうなので、今後も楽しく読ませてもらいます。
元野球プレイヤーが逆行転生して、現代のトレーニングと統計分析を使って昭和の時代で無双する話です。すでに正しいと証明された理論を過去に導入したので成功はほぼ確約されたようなもので、むしろ知識チートを実現するまでの障害をどう対処するかが見どころじゃないかと考えます。貧乏な家に生まれたため、コンピュターなど高価な機材を手に入れるため様々の手段を講じるなど、その過程は主人公の人格形成にも大きな影響を与えたように見えます。そしてなによりも重要なのは、少し前までの時代まで野球の世界は精神論が当たり前でした。もし伝統的、高圧な指導が行われている学校に行ったら自分の知識を活かせません。知識をどうやってチームメイトたちに適用するかも難題です。団体競技は一人だけ強くても勝てませんから。
もう一つ印象深いのは、昭和後期の野球を巡る社会現状を身近な形で表現するところでした。例えば、外国人の私は以前から日本の2つのリーグになぜそこまで人気の差があったのかを不思議に思いました。当時の事情を知り、主人公がどんな風に考えているのかを見て、色々納得しましたね。