頭に巣食う病。

志水川 結木

第1話 冷蔵庫と壁の隙間。

突然だが僕は冷蔵庫と壁の隙間が恐ろしい。

ふと、不意に其処を見る分には構わないが、問題は其処から眼を逸らす時だ。

そう、其処から眼を逸らすとき、其れが見える気がするのだ。

何がいるわけでもない。ただ、俺の妄想だ。

赤い眼、正確には充血した眼がギョロリと此方を覗いている。ビキビキと効果音が付きそうな眼力は此方を見つめて離さない。辿ってゆけば大きな大きな頭部が揺れている。バランスを今にも崩しそうにグラグラとしている。しかし此れは俺の妄想で幻覚だ。何故ならそう、冷蔵庫と壁の隙間は5センチほどの間隔しかない。収まらないのだ。単純に。

だから此れは俺の妄想で想像で幻覚である。ジッ…と隙間を見てみても、何もない。明かりがあまり入らず暗いが其処にはホコリしかない。虫一匹の姿も見えない、ただの空間だ。そこに住人がいるならば家賃を貰わねばならないが、何もいない。何もない。あるのはホコリのみ。だから平気だ。

そして眼を感じたのはおそらくアレだろう。黒色のコードに明かりのオレンジが照ったのがきっと眼に見えたのだ。つまりは俺の見間違い。

それにしてもホコリが積もっているのは宜しくないから、今度クイックルワイパーでも買ってこようと思う。

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頭に巣食う病。 志水川 結木 @Mirai_gaoka

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