後編
僕には好きな人が居た。
今となってはそれを好意と呼んで良いものなのか、分からなくなってしまったが、好意だと仮定しよう。
彼女と話す為だけに、小説を読み漁ったし、図書室にだって通った。
音楽だって勉強だって彼女と話す1つの手段で、目的があるから苦にはなら無かった。
例え祖父母に愛想をつかされようが、構わなかった。
彼女が僕の虐めに巻き込まれかけていると知るあの日までは。
ある日、女子たちの話し声が聞こえた。
「葵ってなんで更衣室使わないんだろうね〜?」 「え、それな!キモイよなwww」
「Rちゃん葵と仲良かったし知ってる?」 「はぁ?私、全然仲良くないし。あんな変なやつと関わってたなんて知られたくない」
そんな会話が体育終わり。新しくなったトイレの、新しく出来た多目的トイレで着替えようとしていた僕に聞こえた笑い話。
〝しんゆう〟からの一言。
そして――
「……」
好きな子の無言。それを見た虐めっ子達の逆鱗に触れたのか、突き飛ばすような音が聞こえた。
だが、僕は女子更衣室に入りたくない人間だ。躊躇している自分に怒りを覚えた。
全てが僕を蝕んだ。
そこからは5年生になったのだが、その頃にはその子とは何も話さなくなっていたので、その子は女の子グループの中に入って笑っていた。
これで良いなんて思いながら小学校の卒業まで虐められ続けた。(児相に行っていた2ヶ月間の中でほんの数日間は学校と被っていたので、虐められてはいないが)
そして、中学入学。
殆ど覚えていないが、僕は此処で〝友達〟に出会う。
1人目は合唱部の同期――だった。
僕がたったの4ヶ月で辞めてしまったそうだ。
そして、なんとなく彼女と疎遠になって、中2でまた話すようになった――らしい。
2人目は多分中3の時に出会った子。
何処か影を落とす彼は僕に似ていた気がした。
そして、その頃には合唱部の元同期とも、彼とも関わるようになって、修学旅行では各自と一緒に
何故〝各自〟なのかと言うと、僕は極度に集団行動が出来ないから。
さて、話を戻そうか。どんどん彼らとの親交が深まる中、僕は怯えていた。
過去を話したり、現状を話したりする度に『弟が何かをすれば終わりだ』と『報道でもされれば終わりだ』と『この子達を巻き込む可能性がある』と怯えていた。
なんなら今でも怯えている。
本気でぶつかってくれたと感じたから、彼の為に生きると決めた。
彼女と居たいと思った。
だが、何か一つ起きてしまうと全てが壊れるという恐怖が僕を狂わせた。
卒業式の日の金銭問題も、高2の万引き未遂事件――いや、万引きも含まれるか。
高2でコンビニを出禁になった弟に、中学の卒業式を潰した弟――愚弟に、殺意が湧いていた。
そんな中、道を踏み外さなかったのは、友達のおかげだったりする。
あの2人を悲しませたくないから我慢を覚えた。理不尽にも耐えた。
だが、心の疲弊は進む一方だった。
いや、小説を書いてストレスを発散していたからマシといえばマシなのだが。
好きな人が居たから小説の世界に入った僕だったが、小説に、Web小説に救われるとは思わなかった。
手始めに彼に教えて貰った通り『小○家〇な○う』にてYukiという人格を生成し、第1作目を投下。
そして『カ○ヨム』にて、名義をyukiに変更し、2作目を投下。
そして、2作目の投稿にあたり、カ〇ヨムには小○家〇な○うとは違いユーザーID(@で続くやつ)が必要だと知りました。(こってりラーメンを食べた日だったので胃もたれしながら、絶望していましたね……)
そして、僕は胃もたれにも耐えながら『雪』というものに焦点を当てて、色々考えた。
雪は面倒に思われたり、好かれたりする。
雪は人を殺める事も出来れば、楽しませることも出来る。
そして、雪は儚く消える。
ならば、これに関連付けて『after the snow』でいいじゃないか。と思った時に使用されていると言われてしまい。様々な記号を試した結果『after_the_snow』に落ち着いたのです。
そして、雪は溶けなければならないもの。ならばyukiは消えるとしようか。
元々この話を描きたくてこの名前にしたし、このIDにしたのだから。
『雪の
――――――――――――――――――――
こんにちは、yukiです。
この小説擬きもまた〝現実世界ではフィクションと呼ばれるものとなっております。
混乱させてしまうことを承知で説明しますと、yukiという小説家の正体は『僕のカーテンコール』の主人公〝氷室雪〟です。
そして、
投稿理由は単に〝承認欲求〟からなるものだった気がします。
これもまた、
私はあの人の1つの人格という訳です。
私は私だと言えたら良かったのかもしれませんが、私は何処かで納得していました。
あの人の負の感情を撒き散らすことで、あの人が言えない言葉を言うことで、あの人が叶えることが出来なかった理想を叶えることで、あの人の心を嘘でも良いから、軽くしていたのでしょう。
それがあの人の心を傷付けてしまっていると、頭の片隅では分かっていた筈なのに。
小説の中に理解者が居たところで、それは〝
全てが〝ハッピーエンド〟出終わっています。(僕のカーテンコールは例外ですが)
それは、氷室雪の過去を書いたものだからです。元はあの人の過去を弄って氷室雪の過去としました。あの人は訴えられるのが怖かった。だから、嘘を入れた。入れさせた。
嘘があれば訴えることは出来ないから。フィクションといえば訴えることは出来ないから。どれだけ現実味を帯びようが、決定的証拠があろうが、それは100%では無い。ならば訴訟問題にも発展しない。周りの誰もを巻き込むことは無い。独りで生きて、生きて、生きて、死ぬ。それがあの人の思惑です。
そう。こればかりは現実社会で起きる事柄なので、必ずしもハッピーエンドが用意されているものでは無いのです。あの人の脳内には〝バットエンド〟の未来以外は見えていないのです。
今までに関わった全ての人との関係を切ろうとする脳を止めることは私にも、あの人にも出来ないのです。それが
最後に。
もしかすると、あの人が筆を摂る日が来るかも知れません。
その時の為に、あの人の――Nullの一人称をお伝えしようかと思います。
〝僕〟それがあの人の一人称です。
どうか、一緒にいてあげてください。
Null……私は確かに此処に居ましたよ。こんな、楽しいを教えて頂きありがとうございました。
After the snow 焚齧 @after_the_snow
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