オルト=エメルの鼎

神の混沌から生まれた世界において、神因を宿す血「神胤（しんいん）」を持つ者は特別な存在＝神人として扱われる。ある日、没落貴族ノエミルは夢の中で玄い神獣クロウ＝ルグルに襲われ、神の子ヴェルンを身籠る。社会的には許されぬ不義の懐妊であるため、彼女は屋敷に引き籠り、秘密裏に出産。神因の強さゆえに、ヴェルンの存在は徹底して隠蔽され、薬師ミル・オルヴェスの養子として育てられる。

15歳の成人の儀「神触れ」で、ヴェルンは強烈な神焔反応を起こし、真性の神人と判明。王統によって保護され、庶民から一転して国家の宝となる。王女イリアは政略上ヴェルンと婚約し、王族に取り込まれる。騎士団に入団したヴェルンは天性の戦才を発揮し、やがて王子セイラス率いる白鏡騎士団の中核戦力となる。

その間、王国は北方の宗教国家ロ＝…続きを読む