概要
海の声を聴いているんです・・・ここで亡くなった人々の、無念の思いを
大学4年の俺は、地方の某県にある大学付属の海洋研究所で魚の飼育の傍ら、卒業研究に勤しむ日々を送っている。日差しが強くなり始めた初夏のある日から、毎夜のように妙な夢を見続ける様になった。夕暮れ時から逢魔が時に移ろう時の狭間の海岸に佇む、セーラー服姿の一人の少女。長い黒髪に白い肌。憂いに満ちた表情を浮かべながら、水平線をじっと見つめている。何か物思いにふけっているのか、微動だにしない。声を掛けてみようか―—そう思ったやさき、本能が警鐘を鳴らし、それを制した。俺は気付いた。彼女の体に纏わり付く、無数の黒い影の存在に。
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