滅びゆく世界を、ただひたすらに走り続ける。人は最後の瞬間にこそ、もっとも眩しい煌めきを放つのかもしれません。その輝きは残酷でありながらも、息をのむほど美しい。疾走感あふれる筆致で描かれるデッドヒートは、読み手を一気に物語の中心へと引き込みます。速度と焦燥、希望と諦念が入り混じる中、駆け抜けた先に待つものは勝利か、それとも終焉か。刹那の輝きと走り抜ける熱を、ぜひご体感ください。
わずかなページでも心に焼き付く疾走感。「どこまで行けるかな」の余韻が、読後にじわりと残るSF短編です。
この作品は、人類が迎える冷徹な運命を描いています。主人公をはじめとする人類のたどる道は決して甘美な未来ではなく、むしろ悲惨。しかし、その悲惨な世界を味わうことこそ、多様な未来を描く「SF」ジャンルならではの醍醐味です。息を呑むようなドッグファイトの場面では、緊張感が高められ、手に汗握ります。全編にただよう絶望感のなかで、主人公が下した決断は希望に満ちています。救いがあるわけではなく、幸福が約束されているわけでもない。でも、瞬間的に燃え上がるものがあり、強い余韻が残ります。絶望世界の一瞬の希望。とても味わい深いです。
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