概要
語られることで、生き続ける声がある
明治という新しき時代。東京の片隅で、盲目の語り部・琴乃は、声だけを頼りに生計を立てていた。彼女の語りには、言葉にできぬ想いを宿し、見えない光を人々の心に灯す不思議な力があった。ある日、羅卒・藤次に救われた琴乃は、ぶっきらぼうながらも不器用な優しさを秘めた彼に、心を揺さぶられる。その出会いが、彼女の静かな日常に少しずつ変化をもたらしていく。一方、かつて言葉の重みを教えた司法卿・江藤新平は、今も琴乃の生き方に静かに影響を与え続けていた。声を通して人の心をつなごうとする琴乃。正義の在り方に迷う藤次。そして、時代の先端を突き進む江藤新平。これは、変わりゆく時代の中に灯った、ただ一つの声が刻む軌跡の物語である。
※この物語はフィクションです。実在の人物・事件が登場しますが、史実の忠実な再現ではなく、創作に基づいた表現が含まれています。
※この物語はフィクションです。実在の人物・事件が登場しますが、史実の忠実な再現ではなく、創作に基づいた表現が含まれています。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!維新の英傑たちが越えられなかったあの坂を、二人は越えることができるのか
明治が始まって約十年。
盲目の語り部の少女と、不器用な薩摩隼人の邏卒(らそつ)。
惹かれ合う二人の運命は、司法卿・江藤新平との出会いによって、静かに、だが抗いようもなく歴史の奔流へと巻き込まれていく。
士族の失望と維新の矛盾が臨界点に達し、不穏な影が江藤を、そして日本を覆う。
ついに勃発する「佐賀の乱」、そして未曾有の激戦「西南戦争」。
江藤新平、木戸孝允、そして西郷隆盛。
英雄たちが己を歴史から消し去ることで果たそうとした「最後の使命」とは何だったのか。
戦火の中、二人の恋情は運命の「田原坂」へと向かう――。
歴史そのものが意志を持って時代を終わらせようとするかのような、激動の明治初…続きを読む