ヒロインと「俺」の魅力
- ★★★ Excellent!!!
最初に「こったタイトルだな」と思った。
会瀬は「逢瀬」で、泡沫(の逆)は「泡姫」と「永遠」のダブルミーニングでこれはこっている。
若いサラリーマンとソープ嬢の恋愛で、反射的に「悲恋かな」と思った。
しかしそれは自分の固定観念で、本作は爽やかな恋愛ものだった。
語り手の「俺」も、ヒロインの安曇も変に屈折したところがないのがよかった。
自意識に傷がないふつうの若者同士の恋愛でサクサク読める。
なんでこんなにサクサク読めるんだろう? と考えたら文体がハードボイルドでよけいな心理描写がないからスラスラ読めるんだと気がついた。
片岡義男の恋愛ものを読むとあまりにも文体がハードボイルド過ぎて虚無的な気分になるが、本作は片岡義男にはないユーモアがあってそこもよかった。
若いころ読んだ生島治郎の『片翼だけの天使』もソープ嬢と推理作家の恋愛ものだった。
あの作品もハッピーエンドだったが、本作の俺と安曇の未来はどうなるのか?
おとぎ話の王子と姫は結ばれて「めでたしめでたし」で終わる。
その後の顛末は書かれない。
本作は最後に「お・ま・け」があって二人の「その後」のスケッチが描かれる。
それを読んで「いい終わり方だな」と思ったし、二人が羨ましくなった。
ぜひご一読をおすすめします。