記憶も言葉もない世界で出会った、たしかな絆の在りか
- ★★★ Excellent!!!
『世界のカケラ〜白亜の塔編』は、まるで夢とうつつの境界を歩くような読後感でした。言葉が届かぬ世界で、焚き火のぬくもりや食べ物のやり取りが、どれほど深く心を繋ぐのかに気づかされます。
魂の奥に眠る孤独や痛み、そのすべてが風景となって現れるこの世界は、読む者の感覚まで呼び覚ましてくれるのです。名を呼ばれることで生まれる絆、誰かのために生きようとする想い――どこか懐かしく、やさしく沁み渡る物語です。