SFとしても人間ドラマとしても、深く刺さる輝きを持った逸品

 我慢しきれず、おそらくまだ前半?あたりでこのレビューを書いているのですが、非常に素晴らしい作品なので、マ・ジ・で多くの人に読んで頂きたいです!


 簡単に言えば、人付き合いが苦手な少年少女たちが過ごす特別教室で、感情を病んだAIヒューマノイドたちを修理し癒していくお話なのですが……、

 素晴らしいのが、近未来の技術・舞台設定、そして人間とAIの心理描写が詳細に伝わって来るところです。
 人間ドラマの部分に関しても、ただの傷の舐め合いではなく、人とAI、人と人、細かな出来事から、少年たちは心の在り様に気づきを得て、少しづつ成長していきます。


 そんなこちらの作品。一つの強いテーマになっているのが「赦し」だと私は感じています。

 ヒューマノイドたちは、大多数の人間にとっては正解の振る舞いをし、そして多くの人間はそれを規範や普通の事と受け止めています。
 ですが、主人公達は感受性やコミュニケーション能力が少数派なため、科学の進んだ世の中でさえ、生きづらさを抱えているのです。
 普通クラスの生徒からも、自分たちとちょっと違うからというだけで、いじめを受けている主人公たち。現代よりも完璧で理想に近づいたはずの未来。その中での不完全な歪さが、物語上とても良いアクセントにもなっています。
 そしてヒューマノイドたちも、全ての人間とは完璧に通じ合えない違和感に、時に傷つき、時に学習し、主人公たちも同様にそれを感じ合っていく。

 ヒューマノイド・多数の定型発達者・主人公たちのような少数派の人間が、他者をどのように許容し合い、赦しを見つけ、居場所や生き方を見つけていくのか、見守りたくなる作品です。

 ぜひ読んでみて下さいね!