生きづらさの夜を歩く物語

 この物語は、とても静かなのに、胸の奥を強く叩いてきます。派手な出来事よりも、夜の空気や何気ない会話が重くて、主人公の孤独が自然と伝わってくるのが印象的でした。

 「理解されたい」という気持ちが、こんなにも切実で危ういものなのかと考えさせられます。先輩との距離感もやさしくて怖くて、読んでいるこちらまで心を預けてしまいそうになります。重いテーマなのに、どこか温度があって余韻が残る作品です。

 孤独や生きづらさを感じたことがある人、夜の静かな物語が好きな人、人の心の影に惹かれる読者に特におすすめしたいです。

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