ヤリサーから助け出した巨乳JDギャルはかよう妻

フィステリアタナカ

ヤリサーから助け出した巨乳JDギャルはかよう妻

「二次会はカラオケなぁ! みんなついて来い!」


 四月も中旬に差し掛かる、大学での一人暮らしに慣れてきた月曜日。僕はタダでご飯が食べられると何だかよくわからないサークルの新入生歓迎コンパに参加をしていた。カップ麵ばかりの生活をしているから今日は良い物をたくさん食べようと、先輩の奢りということもあり、身体がちょっと寒くて気だるいが二次会も参加するつもりだ。

 先輩について行き歩くこと五分。思ったよりも大きいカラオケ店に着いて僕は驚いた。そんな中一人の女の子に目が止まった。彼女は金髪ショートヘアに少し焼けた肌。服も胸のあたりが強調されていて、いかにもギャルという感じだ。こんな人が大学にはいるのか。しかしまあ、おっぱいが大きいな。


「麻美ちゃんはこっちこっち、VIPなんだから」

「俺らと行こう」


 巨乳ギャルは男の先輩方に囲まれてカラオケ店の奥にある部屋へと連れて行かれた。「何で女子一人なんだ?」他の先輩方も気に留める様子もなく。新入生らしき人達もそのことに気づいていない様子だ。


 僕は何だか心配になり彼女の向かった部屋へ行く。どさくさに紛れてその部屋に入り適当な席に座った。ギャルな彼女を見ると両脇にはオラオラ系の先輩が付いていて、僕には先輩が彼女を逃がさない様にしていると感じた。


「麻美ちゃん、何飲む? カシスオレンジ? ジントニックもあるよ?」

「いえ、あたしお酒はいいんでウーロン茶でお願いします」

「えーーっ、せっかくのVIPなのに勿体ない。それにお茶って喉の油分取るから、歌うのに良くないよ。その点お酒ならバッチリ歌える」

「じゃあ、カシス抜きのオレンジジュースで」

「それってオレンジジュースじゃん」


 彼女の眉は八の字になり困惑している様子が伺えた。この部屋には女子一人。酒を強く勧める先輩を見て「この子を酔い潰して襲うつもりだ」そう確信した。どうすれば彼女がこの場から逃げられるのか――あっ。


(こっち見ろ、頼む)


 僕は彼女の目を見る。彼女はそれに気づいて僕を見たときに、僕は大声で言った。


「先輩! トイレに行きたいです! どこにありますか?」

「はぁあん? お前小学生か? 自分で探せよ」


 僕は伝わるかどうかわからなかったが、トイレに行くよう彼女に目で合図した。


「先輩。あたしもトイレ行ってきます」

「おっ、麻美ちゃん行っちゃうの? 早く帰ってきてね~。そこの野郎は帰っていいよ」


 ここまで扱いに差があると新入生全員を歓迎していないのは明白だ。僕は彼女と部屋を出る。


「ちょっとこっち」


 僕は彼女にそう言って部屋から少し離れた場所へ移動する。僕は彼女に訊いた。


「あの先輩達おかしいよね?」

「そうなのよ。たぶんあたしを酔い潰そうとしてる。体ばっかり見てたし」

「このサークルってヤリサー?」

「わかんないけどたぶんそう」

「じゃあ、もう帰ろう。お金は先輩が払ってくれるでしょ」

「でも荷物が――中に入るのやだなぁ。あんだけ大勢いると」

「荷物かぁ――」


 僕は少し考える。


「あっ、そうだ。化粧直すから道具取りに来たって言えば?」

「うーん」

「もしそれで捕まったら突入するよ。扉の近くで待機してる」

「わかった。ありがとう、お願い」


 彼女は不安を見せないように平然としたまま部屋の中に入る。ものの十数秒で彼女が部屋から出てきたので僕はほっとした。


「ああ、怖かったぁ」

「すぐ出よう」

「うん」


 こうして僕は彼女と無事に二人で店を出たのだ。


 ◇


「通いなの?」

「うん、通い」

「大変じゃない? どのくらいかかるの?」

「スムーズに乗り換えできれば二時間」

「えーーっ!」


 彼女の名前は明智あけち麻美あさみ。聞くところによると生活費を安く抑えるため通っているそうで、もしも条件の良い物件が見つかれば一人暮らしを考えているそうだ。


「終電は?」

「まだ余裕」

「じゃあ、駅まで送るよ」

「バスがあるから大丈夫」

「わかった。じゃあバス停まで送る」


 ◆


「はぁ、やっちまった」


 大学生活は順調にスタート。というわけではなく風邪をひいたりして、二週連続で火曜の必修科目を休んでしまった。


「はぁ。授業がわからん。この単位落とすかも」


 久しぶりの講義に僕は溜息をついた。最初の内容がまるまる抜けてしまい、まったく内容がわからないのだ。


「いとーう、ひかーるくん」


 国会の指名の様な感じで名前を呼ばれ僕は振り向く。声の主は明智さんだった。


「よっ!」

「あっ、こんにちは」

「この講義取ってたんだ。この前はありがとね。助かった」

「うん」

「で。どうしたのよ? 溜息ついて」

「前の週風邪をひいて、連続でこの講義休んだから内容がわからないんだ」

「風邪?」

「うん」

「ちゃんと食べてる?」

「食べてるよ。カップ麺」


 彼女はその言葉を聞いて呆れた顔をした。


「伊藤さぁ。体壊したら余計にお金かかるんだからちゃんと食べなきゃダメ!」

「それはそうだけど」

「まったくぅ。あたしが作ってあげようか?」

「え?」

「この前のお礼でおかず作ってあげる」

「いいの?」


 何か流れでギャルお手製のおかずを作ってもらうことになった。


「うん。ところで伊藤、今日は何コマ目まで入っているの?」

「四コマ目」

「あたし五コマ目まであるから、授業終わりに合流しよう」

「どこで待ち合わせする?」

「生協でどう?」

「うん、生協ね」

「じゃあ、念のため連絡先交換しよ」


 僕は彼女と連絡先を交換する。四コマ目が終わったら急いで部屋に戻って片付けをしなくては。


 ◆


「終わんなかった」


 結局、部屋の片づけは捗らず諦めて、持ち合わせ時間に間に合うように生協へ向かった。生協に着くともう明智さんはいて、僕は彼女のところへ行き謝った。


「ごめん、遅れた」

「待ってないよ。それよりも近くにスーパーある?」

「あるよ」


 僕は彼女聞かれたので一緒にスーパーへ向かう。ふだんはドラッグストアしか行かないから久しぶりのスーパーだ。


「何を作るの?」

「豚肉とピーマンの甘味噌炒め。冷蔵庫で五日持つ」


 彼女は作り置きおかずに必要なものを買う。僕はそれとは別にカップ麺に手を出すと、


「こら」

「ん?」

「カップ麵禁止」

「いや、それじゃ――」

「少なくともあたしの前では買わないこと。いい?」


 ギャルの圧に押され、何も言えなくなる。


「よし、これでOK。伊藤の家はどこ?」

「ここから五分のところにあるよ」


 買い物が終わり、住んでいる部屋へと向かう。彼女と雑談すること五分。自分の住んでいる部屋に着いた。


「どうぞ。散らかっているけど」

「お邪魔しま――伊藤?」

「ん?」

「あんた一か月も住んでいないよね? それにしては部屋散らかってない?」

「いや二か月は住んでいるよ」

「はぁ。おかず作る前に部屋片づけるから」


 ギャルが部屋の片付けをしてくれる。大学入学時には考えられなかったことだ。彼女の手はまるで魔法の様であっという間に部屋が片付いた。


「じゃあ、キッチン借りるね」


 彼女はキッチンでおかずを作り始める。僕は「何をしたらいいんだ?」と自分の部屋なのに落ち着かなかった。


 ◆


「はい、お待たせ」


 甘味噌のいい香りが食欲をそそる。僕は彼女と向き合い夕食を食べ始めた。


「それでさぁ。あたし浮いているみたいでまだ友達いないんだよ。絶対、通いがマズいんだって――それと水曜一コマ目9:00~10:30が必修でしょ? 水曜一コマしかないのに正直ダルい」

「まあ、水曜午後は教授会があるみたいだからね。講義は入っても午前中二コマだけだし」


 僕がテーブルから顔をあげると彼女は僕の部屋の様子を見ていた。


「この部屋いいわね」

「うん。大学もスーパーも近い」

「空いている部屋無いかな?」

「うーん。正直不動産屋に訊かないとわからないな」

「だよね。どこの不動産屋に訊いた?」


 彼女と部屋の話をする。彼女は真剣に悩んでいる様子だった。


ひかるだよね?」

「ん? 何?」

「名前、光だよね?」

「そうだよ」

「あのさー、ヒカル様」


 彼女は何かを企んでいる顔をしていた。そして僕に言う。


「今日、泊めてくれない? 明日の一コマ面倒くさいの」

「はっ?」

「と言うか泊まるから。明日、午後から不動産屋に行くしお願い」


 不動産屋は関係無いだろと思っていると彼女が圧をかけて来た。


「いいよね?」

「――はい」


 今日、初めてギャルを招き入れ、しかも泊めることに。僕は展開が早すぎて混乱した。彼女は電話をかける。


「――あっ、ママ。今日泊まるから。えっ、誰の家だって? 大学の友達。そう光ちゃんっていう子なの。いいよね? わかった、パパにも言ってね」


 なるほどね。ひかるって名前を確認したのはそういうことか。

 このあと二人でまた先ほどのスーパーへ行く。ん? もしかしてムフフな展開があるのか? 僕はそんなことも意識しつつ、彼女は歯ブラシなど必要なものを買った。


 ◆


「じゃあ、二十分後戻って来るから」

「三十分」

「わかった」


 彼女がシャワーを浴びている間、僕は部屋を出ることに。その時間で今後彼女と起こりうる展開を考えながら星空の下を歩いた。


「ただいまぁ」

「おかえりなさーい。できればこっち見ないで」

「ん?」

「スッピンだから見ないで」


 なるほど。化粧を落としたのが気になるのか。そんなこと気にせず僕は彼女にアイスクリームを渡した。


「これ、アイスクリーム買ってきた」

「えっ、これって高いじゃん」

「おかずのお礼だから受け取って」

「じゃあ、遠慮なく」


 僕は着替えを準備しシャワーを浴びに行く。風呂場から出ると彼女はベッドの上でスマホを見ながらくつろいでいた。


「あたしここで寝るから」

「家主は僕なんだけど」

「いいでしょ? 女の子なんだから」

「はいはい、わかりました」


 僕は床で寝ることが決まり、下に敷くものを探す。特に敷くものは無く、僕はクッションを枕に寝ることにした。


「伊藤、おやすみ~」

「おやすみ」


 結局午前二時になるまで眠れなかった。だってムチムチ巨乳ギャルがいるんだよ? ある意味拷問だって。彼女の存在を意識せずにはいられない。そんな感じで夜を過ごした。


 ◆


「ふぁあ――おはよう」

「おはよ」


 朝起きると明智さんは化粧をしていた。これ化粧を毎日やるんだ。僕は彼女が通いであることも含め、彼女は大変だなと思う。


 水曜の一コマ目ははからずしも彼女と同じ講義だった。こちらは二週連続で休んだわけではないので何とか講義についていけた。講義が終わると彼女は僕に声をかける。


「いやー、楽ちん楽ちん。やっぱり大学が近いっていいね」

「そうだね。午後不動産屋へ行くんでしょ?」

「うん。いい部屋見つかるといいなぁ」

「きっと見つかるよ」


 ◇


〔部屋見つからなかった〕

〈そうなの?〉

〔うん。第一希望は空いていた伊藤の隣の部屋なんだけど〕

〈えっ〉

〔家賃高いじゃーん〕

〈まあ、そうだね〉

〔この金持ちめ!〕


 ◇


 明智さんが部屋に来たあの日から一週間が経つ。作り置きのおかずも食べ終わり「ああ、また作ってくれたらな」と、そんなことも思いながら僕は火曜午前の講義を受けていた。


「いとーう、ひかーるくん」

「明智さん、こんにちは」

「今晩泊めて♪」

「えっ」

「水曜一コマ大変じゃん」


 どうやら今日も彼女は僕の部屋に泊まるつもりらしい。


「部屋がまだ見つからないからお願い! おかず作るし、部屋も片付けるから」

「ってことは部屋が見つかるまで毎週泊まるつもりってこと?」

「わかってるじゃーん」


 彼女は肘で僕の体をつつく。彼女のキャリーケースが目に入り、僕は彼女が冗談ではなく真面目に言っているのだと感じた。


「じゃあ光ちゃん、よろしく。五コマ目終わったら行くから」


 結局ゴールデンウィークを過ぎても彼女の条件に見合った部屋は見つからず、毎週火曜日通い妻? 現状そんな感じだ。僕は困惑している反面、正直この状況を嬉しく思っている。


 ◆◆◆◆


 あたしの名前は明智麻美。大学に入ったが存在が浮いているみたいで、まだ学科の友達がいなかった。そんな中、大学構内を歩いていると先輩から声をかけられる。何でも新入生歓迎のコンパがあるらしく、先輩の雰囲気を見て「ああ、これなら友達できるかも」とそのコンパに参加することにした。


「――ねぇ、この子VIP扱いね。麻美ちゃんは何飲む?」

「ウーロン茶で」


 女の先輩とは気さくに話すことができた。嬉しい。ようやく大学生になったと実感することができた。ただ男の先輩はなんだかガツガツし過ぎてイヤな感じがし、できれば関わりたくない。そう思った。


「麻美ちゃんも二次会行くよね?」


 女の先輩にそう言われ二次会へ行くことに。二次会の会場はカラオケ屋。店内に入ると男の先輩に声をかけられた。


「麻美ちゃんはこっちこっち、VIPなんだから」

「俺らと行こう」


 他の先輩達はこちらを気にすることもなく、あたしは数人の男の先輩に連行されカラオケ屋の奥の部屋へ行く。部屋は広めの部屋であたし以外は全員男で正直怖くなった。


「あたし用事思い出したんで」

「いいから、いいから。初めから用事があるんじゃ二次会来ないでしょ?」


 席を立とうとすると隣に座っていた先輩に捕まる。どうしよう、完全に困った。たぶんこの人数じゃ逃げ出しても捕まる。来なきゃよかった。この部屋の中に入ったことを後悔していると、真剣な眼差しでこちらを見ている男の子がいた。彼と目が合うと、彼は大きな声を出す。


「先輩! トイレに行きたいです! どこにありますか?」


 彼はまたあたしの目を見て「トイレに行くと言え」とあたかもサインを出している様に見えた。


「先輩。あたしもトイレ行ってきます」


 何とか彼と一緒に部屋を出ることができた。良かったぁ。少しほっとした気持ちになったが荷物を部屋に置き忘れていることに気がつく。


「化粧直すから道具取りに来たって言えば?」


 そんな彼の提案もあり、無事に荷物を回収。その後店を出てバス停まで彼と一緒に歩く。もしかすると教養科目の講義でまた合うかもしれない。帰りの電車の中で彼のことを思い出しながら「お礼をしたい」とどんなお礼をしたらよいのか考えを巡らせた。


 翌週の火曜。講義の合間に大学構内で彼を探す。「やっぱりそう簡単には見つからないか」とお礼ができずにモヤモヤしていると、午前中の講義が終わったときに彼を教室で見つけた。「この講義同じなんだ」ようやく見つけた彼に近づくと彼はがっかりした様子で溜息をついていた。


「いとーう、ひかーるくん――、よっ!」

「あっ、こんにちは」

「この講義取ってたんだ。この前はありがとね。助かった」


 彼と話が出来て嬉しくなる。だけど彼の食生活を聞いて呆れてしまった。これはダメだ。


「この前のお礼でおかず作ってあげる」


 自然とそんな言葉が出た。連絡先を交換し、買い物へ行くため待ち合わせをすることにした。

 彼と合流しスーパーに寄ったあと彼の部屋に行くと、カップ麵の残骸や飲み終えたペットボトルが散乱していた。これは酷い、よしヤルか。あたしはおかずを作る前に部屋の片づけをした。

 おかずを作り終えたあと彼と食事をする。部屋の様子を観察して「イイ感じの部屋だな」と借りるならこんな感じの部屋がいいと思った。部屋を借りれば水曜一コマ目が楽になるのに――あっ、そうだ。ここに泊まればいいんじゃん。あたしは彼に泊まっていいか訊いたというか、泊まるからと半ば強引に持っていった。


「――あっ、ママ。今日泊まるから。えっ、誰の家だって? 大学の友達。そう光ちゃんっていう子なの。いいよね? わかった、パパにも言ってね」


 夜、彼の家に泊まる。まあ、途中手を出されたら仕方ない。どうせ大学生のうちにいつかはヤルんだし、あんな大勢にヤラれて最悪な初体験をするよりかはまだマシだ。しかしその夜、彼は一向に手を出してくる気配が無かった。なんだか女として見られていないようで複雑な気持ちになる。こっちから襲う? いやいや、それはない。


 翌朝、大学へ行き一コマ目の講義を受ける。「何て楽なんだ」通学に使っている時間が無くなったことで明らかにストレスが減っている。「これなら早くいい部屋見つけたい」そんなことを思いつつ、午後不動産屋へ行くことを楽しみにしていた。


「――万円に、敷金礼金が――」


 不動産屋さんに着いて、借りたい部屋の条件を伝える。っていうかどこも家賃高いぞ。あたしにとって借りるのにお金が一番のネックだった。うーん、水曜日必修科目じゃなきゃ受けないのにな。困ったな。あっ、そうだ。アイツに頼めばいいんだ。おかずも作ってギブアンドテイク、これなら間違いない。あとは押すだけ。あたしは月曜の夜に泊まるための準備をまとめ、火曜日に彼の家に泊まることを決めた。


 ◆◆◆◆


「光ちゃん、買い物行こう!」


 ゴールデンウィークに入る前日、僕は明智さんから買い物へ行こうと誘われる。どうやら彼女は僕の部屋に泊まるのに必要な物を買いに行きたいらしい。

 ということでゴールデンウィーク初日。僕は彼女とショッピングモールに買い物に来ていた。彼女の強引さに引っ張られている感じだが、まあこれも新鮮で面白いなと思う。


「麻美さんはこの後のゴールデンウィーク予定あるの?」

「地元の友達と遊ぶ」


 買い物の途中、お昼前混まないうちにフードコートへ行き食事をする。


「光ちゃんはゴールデンウィーク何するの?」

「学科の課題が出ているから、それをやる」

「えーーっ! 課題なんてあるの?」

「うん、それも大量の写経。書いて覚えろだって」

「学科が違くて良かった」


 ◆


「麻美さん、次はどこ行くの?」

「トイレの上に空間があるでしょ? あそこにトイレットペーパーの予備とかシャンプーの詰め替えとかを置いておくためのラックを探すのよ。スペースの有効活用、ちょうどいいラックがあるといいんだけど」

「なるほど」

「あと食器とコップ。この前無くて不便だったじゃん。それと歯磨き粉にシャンプーとリンスとコンディショナー。あっ、化粧に使う鏡も買わなきゃ」


 僕は彼女とホームセンターのエリアへ行く。生活に必要な細々な物を買い、良さげなラックは配送してもらうことにした。


 ◇


「今日はあたしのために買い物付き合ってくれてありがとう」

「いえいえ」

「ホント光ちゃんは都合の――感謝している」


(麻美さん? 今、都合のいい男って言うつもりでしたよね?)


「うん」

「そういう訳で光ちゃん、今日も泊まるから」

「えっ」

「作り置きしておかないとダメでしょ? ゴールデンウィークまだ始まったばかりだし」


 こうして買い物が済んだあと、彼女は僕の部屋に泊まることになった。部屋に戻ってから荷物を置き、スーパーへ食材を買いに行く。僕は彼女と過ごす時間を心地良いと感じて、彼女の姿を見つめた。


 ◆◆◆◆


「麻美、そっちの大学はどうなん?」

「通いがしんどい」

「えっ! 通っているの?」

「うん」

「何時間かかるの?」

「二時間」

「はぁあ? あんたそれ部屋借りた方がいいよ」

「あっ、でも週一で泊めてくれる友達ができたから少しは楽になった」

「へぇー、そうなんだ。どんな人」

「真面目な感じの人だよ。大学生ってヤルことしか考えていないと思ったけど彼は違った」

「はっ? 彼ってもしかして男の子」

「そう」

「週一で男のところに泊まっているって、その人彼氏なの?」

「ううん。彼氏じゃない」

「セフレ?」

「セフレでもない」

「なにその草食系男子。麻美がエロい体しているのに手を出さないなんて」

「手を出されてもおかしくないんだけどね」

「どこで知り合ったの?」

「ヤリサーのコンパ。そんなサークルだと思わず参加して、大勢の先輩にヤラれそうになったところを助けてくれたのよ」

「すごっ、王子様じゃん」

「そうかな?」

「そうだよ。それでどういった感じで週一で泊まることになったの?」

「光ちゃんはカップ麵ばかり食べてたからおかずを作りに行ったの。そのとき『あっ、ここから通えば一コマ目楽じゃん』と思って強引に行った」

「へぇー、光ちゃんねぇー。あんた彼のことどう思っているの?」

「どうって?」

「好きとか、特別な感情は無いの?」

「特に無いかな」

「本当に?」

「うん」

「それはウソだよ。別に他の友達に泊めてもらってもいいじゃん。何で定期的に彼のところに泊ってるのよ」

「それは……」

「はぁ。まったく自覚が無いんだから。麻美今度紹介して」

「うーん、わかった(あたし光ちゃんのこと好きなのかな? 一緒にいて楽なことは楽だけど)」


 ◆◆◆◆


 ゴールデンウィークが明けからも特に変化もなくいつも通り講義を受けていた。麻美さんが泊まりに来るようになってから、正直火曜日が来るのを楽しみにしている。早くその日が来ないかと。そんなある日のこと、


「光ちゃん!」

「麻美さんどうしたの?」

「来週の木曜日、泊まりに行きたいんだけど」

「木曜?」

「そう。レポートとかテストとかあるでしょ? 通いって結構疲れるから課題やるのに集中力が落ちちゃってさ」

「それで木曜日も泊まりたいと」

「うん」

「それなら木曜日だけでなく他の曜日も泊まりに来ていいよ」

「いいの?」

「うん」

「あっ、でも着替えが……」


 そうだよな。着替えの問題もあるし、毎日は――って毎日来たら僕が集中力無くなって困るんじゃ……。自分で言っていて何だがそれはマズいな。


「わかった。とりあえず木曜日だけで、どうしてものときは連絡くれれば」

「ありがとう。じゃあ、それで光ちゃんよろしく♪」


 こうして七月の頭から毎週火曜木曜と麻美さんが僕の部屋に泊まりに来ることになった。彼女と部屋で勉強しているときは気が散ってしまうかもと思っていたが、思いのほか集中できた。何だろう、彼女といるときは落ち着くというか、一緒にいてもストレスなく楽にしていられる。彼女とお付き合いできたらな。というか麻美さんは僕のことどう思っているのだろうか。気になる。


「このレポート面倒くさい。もうヤダよ光ちゃん」

「どれ――あー、これね。二つアイディアが思いついたから二つ作ったヤツだ」

「えーーっ! 二つも作れたの?」

「うん」

「お願い! 一つレポート頂戴!」

「はい?」

「ただでとは言わないからさぁ、何でも言うこと聞くから」


(何でもいうことを聞く――)


『光ちゃん、おっぱい触りたいの? この変態! もう泊まらないから』


(って言われたら普通に凹む)


「じゃあさ、夏休み入ったらどこか遊びに行こうよ」

「遊びに行くってどこに?」

「海とかプールとか涼しめるところ」

「ははーん。そんなにあたしの水着姿が見たいんだぁ」

「いや、あの、その、そんなつもりじゃ」

「何よ。見たくないって言うの? 正直に言いなさい」

「見てみたいです」

「よし、わかった。一緒に水着を買いに行ってくれる?」

「えっ?」

「ほら、素敵なヤツを買いたいから参考までに意見を聞こうかなって」

「わかった、一緒に買いに行こう」

「ウシシ。それじゃ、遊びに行くってことでレポート頂戴」


 こんな会話も挟みつつ二人で勉強をしていく。七月下旬すべてのレポートとテストをこなして、大学一年の前期を終えるのであった。


 ◆


 七月最後の日曜日。麻美さんが八月から免許取得ため教習所へ通うということで、この日は水族館を訪れ、その後水着を買いに行く予定だ。そして九月に温水プールのある温泉ホテルへ行く計画を立てたことを伝えると、彼女はすぐにOKをしてくれた。


「光ちゃん、この水着とこの水着どっちがいい?」

「僕はホルターネックの方がいいな。胸の形崩れにくいでしょ」

「変態――、じゃあこっちにするね」


 水着を買い、彼女が教習所に通っている間はバイトをたくさん入れた。僕は人生の中で一番良い思い出になることを期待して、ホテルで一番良い部屋ではないけれど、頑張って素敵な部屋を押さえたからだ。麻美さん喜んでくれるといいんだけど。


 ◆


「光ちゃん、ここ?」

「うん、この部屋」

「何か素敵なんだけど、この部屋高いんじゃ――」

「それは気にしなくていいよ。バイト頑張って入れたから、ここは僕に任せて」

「いいの?」

「うん、日頃のお礼も兼ねているから大丈夫」


 九月中旬。ホテルに荷物を置き、温水プールへ遊びに行く。ウォータースライダーなどで、はしゃぐ彼女を見て「喜んでくれてよかった」どのタイミングで告白しようかと思いつつ、緊張を隠して彼女と命一杯プールを楽しんだ。


「見て見て、光ちゃん。星がすごく綺麗」


 ホテルに戻り夕食を食べた後、部屋の中でくつろぐ。彼女は窓の向こう側にある星空を眺めていて、僕はそっと彼女の隣に寄った。


「星綺麗だね」

「だよね――、光ちゃん」

「何?」

「こんな素敵な部屋を取ってくれてありがとう」


 彼女の頭が僕の肩に触れる。


「麻美さん」

「うん」

「僕、麻美さんのことが好きだ。恋人になってください」

「――はい」


 月明り下で僕は彼女の顔を見つめる。彼女もそうだ。彼女の唇に僕は吸い寄せられ、目を閉じて口づけをした。そしてこの素敵な夜にお互いの初めてを交換し、抱きしめ合い、朝になるまで僕らは愛し合った。

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