概要
僕がロマの中にいたときの話
招かれた者しか入れない村”
イランのロマ音楽家と出会った私は、
“PERI〜妖精〜“にまつわる禁忌の記憶に足を踏み入れる……思わぬ狭間を目にするとは知らずに。
イランのロマ音楽家と出会った私は、
“PERI〜妖精〜“にまつわる禁忌の記憶に足を踏み入れる……思わぬ狭間を目にするとは知らずに。
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!本当にあった怖い話レベルのリアリティ
まずはこの文章自体から香る異国情緒を味わってほしい。本当にその場を主人公と共に歩いているかのような気持ちになる。
出会った女の様子もリアル。異国の人との独特の距離感。親日家がこちらに踏み込んでくれるあの愛嬌とは全く違う、交渉というか契約というか。友好まではいかないが情がないわけではない。一本の綱で繋がれたように感じた。
後半、彼は村に馴染み、彼女への思いを反芻する。それは単にその村が好きだからか?彼女の肉体が魅力的だったからか?取り込まれていく彼は本当に彼の話なのか?私たちも実は知らないうちに取り込まれているのかもしれない。
異なる世界だったにも関わらず、境目がなくなっていく描き方が素…続きを読む - ★★★ Excellent!!!空気の匂いさえ感じられるような異文化の手触り
ロマ(ジプシー)の文化を研究している主人公が研究のためにロマの女性と便宜上「結婚」する話なのですが、あまりに現実味があり、ラスト付近までエッセイだとばかり思っていました。
若干ホラー味を感じる不穏なラストは「小説」でしたが、この濃厚な異文化の描写は、相当にロマの文化を理解し、現地に足を運んだ人間にしか書けない気がします。
仮にそうでないとしたらとんでもない想像力であり、いずれにしてもこの異文化体験は一読の価値があるものです。
我々の常識が、その所属する文化によって規定されたものでしかないことや、文化が違っても普遍のものである人間の本質を改めて感じさせてくれます。