概要
その右手に、もう重い花束はない
あかり先輩は、すっかり明るくなった顔で空を見上げた。夜の海と星空が、その眼の前に気持ちよく大きく広がっていた。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!憧れの先輩が職場を去る、その時主人公は
会社の先輩と後輩の青年の物語である。先輩はとある事情で会社を辞め、退職日の就業時間後、主人公は彼女を誘って飲みに行く。先輩の希望で二人はフェリーターミナルに向かう。
筋だけ語ればこれだけだ。しかし約三千字の短編にぎゅっと情景が詰まっている。入社以来面倒を見てくれた先輩の口癖「正解」。最後の日にもこの言葉を聞き、主人公はこれが最後になるのかと思いつつ、最後まで師弟関係から抜け出せない自分も見ている。退職は円満の域に収まったと推察するが、海に投げられた花束は割り切れぬ先輩の悔しさの象徴だ。フェリーの乗客の目に映る二人の姿は、こうありたいと願う主人公の願望だろう。断片的に語られるのに、記憶や場…続きを読む