遠くなった故郷にて、獲られ、親しまれていた春の海の幸「ひなま」。あの日、たしかに幼馴染とふたりで釣り上げた「ひなま」。その姿は、古びた思い出とおなじくおぼろになっているけれど。それでも、あの春の夕暮れは胸に焼きついて、きっと消えない。謎めいた「ひなま」に象徴される、味わい深いたそがれの思い出。春の潮をおびたその残り香を、どうぞ嗅いでみてください。
少年少女の心の交流の物語です。別れ別れになる二人の、ひなま釣りの思い出が描かれます。結局ひなまって何なのさ。それは遠い日置いてきた淡い恋の思い出。大人になってからは、その鰭ぐらいしか思い出せないんだと思います。
もっと見る