ボクは雨が止むのを待っていた

学校へ行かなくなった「ボク」は、ちゃんと前を向けたのだろうか。それともまだ想い続けているだろうか。
最後の一行が冒頭の一節に繋がっていて、答えはひとつではないことを窺わせます。

好きな人の声や笑顔を封じ込めて、ひとり見た夢は「君」を惑わせないための決心だったのかな。私はそう感じました。
叙述を基に想像して読むと、扉の先に自分だけの物語が見えてくる気がします。
ざわつく心が落ち着くまで君を想い、静かに雨宿りをして待つボク。初めて開く本の表紙のように、物語はここから始まるのかもしれません。

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