僕らは確かに、その場・その時・その瞬間に共存した

自分が十数年前にはまっていた、とあるオンラインゲームの事を思い浮かべながら読みました。
運営の対応が不誠実であったり、メンテナンスが予告なく度重なって延長されるのが常習化していたり、規約で禁止されているのにリアルマネートレーディングが横行していたり、ゲームバランスが狂ったエンドコンテンツを提供したり……。
毎回のように何かしら不満を口にしながらも、一緒に遊んでくれるギルドメンバーもいたので、なんだかんだ惰性交じりに続けていたのですが、いつの間にかぱたりとやらなくなったんですよね。
あの時の友人たちは、今どこで何をしているのだろう、元気でやっているのだろうか……と、思うなど。
回線一本でつながった、顔も声も本名も知らない者同士の、限りなく脆く薄いつながり。
でもそのつながりは確かに熱を帯びていて、同じ時間を共有し、同じ空間を生き、同じ光景を見て、同じ空気を吸い、同じ楽しみを分かち合いました。
しかし、私は彼らに別れの言葉も告げずに消えました。
娯楽の多いこの世の中、特にオンゲの界隈ではよく見られる光景です。
自分はもう、あの頃を懐かしく思っても、彼らと会うことは叶いません。
あの時の友情をもう一度と思っても、今の私にはもう何もありませんから。
あなたはどうでしょうか。
そして、本作の主人公は。
同じ空の下を生き、同じサイトにいるあなたに、つながりを結ぶために本作品をお勧めします。