何故か人って醜悪なものと対峙してしまった時、「うわぁ、きったねぇ」とか言って突き放しながらも、心の中では勝ち誇ったような薄ら笑いを浮かべて悦に入る――つまり、快感を覚えてしまうんですよね。
この作品の主人公がまさにそうです。
彼は、いわば「闇堕ち作家」。
夢破れプライドが瓦解したのをきっかけに、人として到底褒められたようなものではない動機で作品を書いていくのですが……まぁその心理描写のえげつないこと。
カクヨムにも絶対いるだろう、というリアリティを伴って、止めどなく全力でぶっつけてきます。
汚物です。
ヘドロです。
腐ったネズミの死体を食うネズミです。
でもそれがたまらなく魅力的なのです。
主人公に強烈な嫌悪感を抱きながらも、その下劣な人間性に共感せずにはいられない。
その悪辣さに辟易しながらも、彼を見下す際に脳にほとばしるドーパミンの快感を覚えずにはいられない。
そう、結局あなたにもそういう一面があるのです。
そのことと向き合いましょう、まずは。
でも、1話目でこれですよ?
ちょっと情報量というか、カロリーがヘビーボンバーじゃありませんか?
構わん続けろ、もっと寄越せ。
そんなひどく劣等感をこじらせたコンプレックスの塊みたいな主人公が、光みたいな少女と出会います。
うぉっ、まぶしっ!
なんかロマンスの香りがする!
はーっ、はーっ、濃密な2話だった……え、これまだ2話なんですか!?(2025/12/05レビュー時点で)
おいおい、この威力でまだ序盤だなんて、今後が楽しみすぎるじゃありませんか。
こりゃ是非とも読むしかありませんねぇ!
皆さんもこの作品でしか味わうことができない「ド底辺」と、そこに差し込む一筋の「光」、是非とも楽しんでいってください。