好奇心の子

藤堂こゆ

好奇心の子

好奇心のままに

地球の皮を破り

(上にも下にも)

臭い息を広め

隣人を蹴飛ばし撃ち殺し

草花をむしり

地を焦がし穴を空け

空の色をけがし

油や水や珍しい石の取り合いをする

無邪気な好奇心の子どもたち


好奇心のままに

奔放に駆け回り

蹴飛ばし回って

散々荒らして

用済みのものは知らんぷり

海は怒るぞ

山は怒るぞ

星は怒るぞ

空は怒るぞ

土は怒るぞ

草は怒るぞ

……

無言の怒りが

息苦しいほど充満しているそのことに

気づかない好奇心の子


もう

それらの声を聴く耳を

失ってしまった好奇心の子


自滅への道を

着々と歩んでいることに

気づかないふり知らんぷり

今を楽しむ

好奇心の子


【了】


――私もまた、その一人。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

好奇心の子 藤堂こゆ @Koyu_tomato

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ